親と子のすれ違い〜感情編〜エディプスコンプレックス・エレクトラコンプレックス

04 Jul 2020

youtube教育講演会【無意識の教育02】がアップされました!

親と子のすれ違い〜感情編〜エディプスコンプレックス・エレクトラコンプレックス

前回、沢山のご意見をいただきました、小沢名誉学園長のyoutube教育講演会の続編となります、【無意識の教育02】親と子のすれ違い〜感情編〜がアップされました!

【無意識の教育02】親と子のすれ違い〜感情編〜
①エディプスコンプレックス・エレクトラコンプレックス」

内容
なぜ親子で感情的になりやすいのか、感情がすれ違ってしまうのか?を解りやすく解説。
幼少期の原体験が今の感情を産んでいる?!

引きこもり・不登校・発達障害など悩みを抱えた青少年やその家族をサポートするディヤーナ国際学園。事務局は下伊那郡高森町にあります。

空手道禅道会 ディヤーナ国際学園では子どもの自立支援を行っていますが、その中で親と子のすれ違いがなぜ起きるのかということを前回にお話ししました。

コミュニケーションの中で、言葉でのコミュニケーションはバーバルコミュニケーション、言葉ではない声のトーンや動作・身振り・表情はノンバーバルコミュニケーションといいます。
子どもが生まれて言葉がしゃべれないと、ご両親のノンバーバルコミュニケーション、特にお母さんのノンバーバルコミュニケーション(声のトーン・動作・しぐさ)を見て、自分が愛されているかどうか、ここに存在していいのかどうかというところを判断しています。そしてそれが自己重要感になっていきます。

その中で大人目線と子ども目線とのすれ違いが起きると、ノンバーバルコミュニケーションはすれ違ってしまい、子どもがフラストレーションを持ってしまいます。

基本的に自分の子どもを愛していないご両親は居ない訳ですが、子どもの方になぜ自分は愛されていなかったのではないか、自分はこの家の子どもではないのではないかという感情が生まれるのは、ノンバーバルコミュニケーションのすれ違いがあるのだ、というお話しを前回しました。
今回はそれをもう少し深くお話ししたいと思います。

無力な子どもは親の愛情という庇護なく存在はできないので、ご両親の愛情に強く依存しています。また6歳未満のことはほとんど忘れてしまうのですが、脳は3歳までで90%、6歳で95%完成すると言われており、自動学習で膨大に学習します。忘れてしまっていても、それが無意識を形成します。

その中でもモラルについて説明します。
エディプスコンプレックス(女の子はエレクトラコンプレックス)はモラルの原型になると考えられています。このことを提唱したのはジークムント・フロイトです。フロイトはこのエディプスコンプレックスの発見こそ人類史上最大の発見であるぐらい言い切った、当時は斬新な考え方でした。

3歳以降の子どもが、お母さんの愛情によって支えられている時に、お父さんが「そんないつまでもお母さんにベタベタしているんじゃない」とか言うと思うんですね。
3歳から6歳の子どもというのは、お母さんとの愛情関係に横やりを入れるお父さんがちょっと邪魔なんです。これは大事なことなんですよ。お母さんを独り占めしたいのに、お父さんが居なければいい、と思う感情が生まれるのですね。
その頃の3歳から6歳の子どもさんの多くは、僕は将来お母さんと結婚すると言うんです。女の子は逆に、将来はお父さんと結婚するって言うんですね。その時に男の子はお母さんに、女の子はお父さんに恋愛感情に近いような感情が見られる。でもお母さんは変な言い方ですがお父さんの彼女で、お父さんはお母さんの彼氏なんですよ。なので自分はお母さんが大好きもしくはお父さんが大好き、そしてお父さんお母さんが邪魔なんだということを知られると罰せられるんじゃないかという恐怖心、罪悪感を抱くと言われています。
この罪悪感が、モラルの源だという。人はその時の性的な想いを露骨に出してはいけない、自分の欲求を悟られまいとしているのです。
そして自分ではとても男らしさでは敵わないお父さん、女らしさでは敵わないお母さんから人間として基本的な在り方、男性原理・女性原理を学ぼうとします。

このエディプスコンプレックス(性愛環状やその罪悪感)が本能的な欲求を108の煩悩に分けていく、色々な感じ方や好みに分けていく源だとフロイトは考えました。

しかしエディプスコンプレックスが無かったらどうなりますか?
逆に野放図になってしまう。モラルのない人になってしまう。
ですのでこの3歳から6歳の時期は、人間として基本的な在り方、超自我を学ぶ時期でもあります。

ところがこの時期にお父さんがあまりにも無力であったり、お母さんがあまりにもお父さんを愛していなかったり、色々なことが重なると、この大事な時期に学ばなくてはいけないこと(超自我)を学べなくなってしまう。もしくはとてもお父さんが厳しすぎて虐待をするような人、お母さんにネグレクトされるようなことが起きると、当然そこには大きなフラストレーションや欠損が生まれてしまいます。

3歳から6歳の時期は、エディプスコンプレックス・エレクトラコンプレックスで学ぶことを学ばなくてはいけない。
どんな自分でも愛してくれるという母親と曲がったことをしたら叱られるという父親とのバランスの中にこの感情は育っていきます。

パーフェクトなご両親は居ません。自分と子どもとの関係を客観的に捉えることはなかなかできることではありません。今は多いところで3人、今は少子高齢化社会で子どもが1人しか居ないところも多く、絶対的な経験値が少ないので、ご両親は教育のビギナーです。
完璧な家庭はありませんので、人間関係が広がる時期に、幼稚園や空手道場に行ったり色々なことをして、不備を埋める役割のある人を増やしましょう。

また子ども同士の関係も、幼稚園の同級生や公園デビューで年上の子どもなど、自分以外の人との関わり合いが生まれます。万能感のあった子どもも、そこで自我が衝突する訳です。自我が衝突して、必ず何かのトラブルが起きます。
昔のことわざにもありますが、子供の喧嘩に親が入っちゃいけないとかいうようなことが良くあったと思います。それは子どもが衝突する時に、子どもなりにどういう自我を調節したら他人と上手くやっていくのかということを覚えなくてはいけない時期だからです。集団で遊んでその中で触れあった動物の中での順位や社会性を覚えて、先ほど言ったエディプスコンプレックスを中心に他人の心を察する能力をつけていく。発達障害の子どもがなぜ苦労するのかというと、他人の心を察する能力が弱いからなんです。そうするとその時に人間関係のトラブルになりやすい。そしてそれを積み上げていって、二次障害になる。

エディプスコンプレックス・エレクトラコンプレックスを原型とした他人の心を察する能力を学べなかったらどうなるのか?
そのフラストレーションは実は思春期に大きく出るのです。
小学校の頃はなんだかんだ言ってそれは潜伏していて、そんなに大きな問題に出ることはあまりありません。「少々人間関係が苦手だな」「いじめられるな」。過度ないじめに遭う場合も無い場合も、特にその人の社会的な問題行動に結びつくことはない。なぜならば子どもだから。少々わがままを言っても、暴れても、体力的にも少ないので親も対応できる。それが思春期の時、フラストレーションがマントルに押し出された溶岩のようにドーンと出る。その出方がフラストレーションの違いなのです。フラストレーションは必ずネガティブな感情と結びついています。何で両親は俺の願いを叶えてくれないんだという怒りや兄弟と比べられて憎しみに繋がっている場合は、家庭内暴力になっていきます。逆に両親が極端に真面目で社会的に押さえつけられてしまうと、反社会的な行動になって現れます。

それがどんな方向に出るのかということを、ディヤーナ国際学園の生徒たちの実例をこれから話したいと思います。(次回へ続く)

講師: 空手道禅道会 首席師範  小沢 隆

1963年1月20日生まれ。長野県出身。
中学時代より空手を始め、長野県飯田市にて指導者となり多くの一般道場生や、内弟子に指導する。武道教育者としての実践を培う中で、道場生や地域の方より、引きこもりや、家庭内暴力など様々なご相談をうけ、『義を見てせざるは、勇無きなり』との熱い想いから、その子供達を自宅に預かり、共に生活をする中で一人一人の心に寄添い、時に厳しく、時に優しく、信頼関係を築き、成長と自立を支援と青少年健全育成に邁進。
(著書の中で、心の事や、エピソードを紹介してありますので、是非ご覧下さい)

【著書】アマゾンはこちら

  • 「無意識の教育」MCプレス
  • 「武道の心理学入門」BABジャパン
  • 「ヨガと武道」BABジャパン
  • 武道教育の実践BABジャパン

ディヤーナ国際学園(通信制高校、ひきこもり、家庭内暴力、不登校)
日本武道総合格闘技連盟(認定NPO法人)
空手道禅道会総本部
心理楽講座
空手道禅道会 伝承者の会
武道ジーニアスメソッド

BGM:いまたく https://dova-s.jp/bgm/

  • LINEで送る
  • はてなブックマーク