大正大学生に小沢先生が講義(居場所論)
朝晩の冷え込みが大きくなってきたこの頃・・・
昼間はまだ暖かく薄着がちですが、コロナ対策もバッチリおこない、東京にてzoom講義を小沢先生が大学生に行わせて頂きました。
いつもお世話になっております、千里金蘭大学の准教授で、空手道禅道会大阪道場生でもございます、斎藤富由起先生にお招きいただき、東京都の奉仕園にて、大正大学の講義「青年期の居場所とこころ」にて、講義をさせて頂きました。
ディヤーナ国際学園と青少年の居場所づくり(動画)
また、その前日には、子どもの居場所研究会にて「ディヤーナ国際学園と青少年の居場所づくり」というテーマで、ディヤーナ国際学園の成り立ちや、ボーダー、発達障害、ひきこもりの人たちへの支援のポイントをお話させて頂きました。
2020年11月8日(於早稲田奉仕園)小沢隆先生「ディヤーナ国際学園と青少年の居場所づくり」①
ディヤーナ国際学園ができるまで
―武道と教育の関連性―
運動するということと、自然な感情を取り戻すと言うことには、関連性があることに気づく。
抽象的な話ではなく、武道と子どもの教育には明らかな関連性があるのではないかと感じるようになった。
ディヤーナ国際学園が始まって
ボーダーラインの支援のポイント
集団生活をしていると家族関係ができてくることがわかってきた。
支援のポイント① 集団のまとまりをつくる
エレクトラコンプレックスを感じる存在が集団の中に登場したのち、ボーダー傾向のある子供たちにも一定の順位制(まとまり)が出てきた
支援のポイント② ノンバーバルコミュニケーションに注目する
ノンバーバルコミュニケーションを話し合うことによって、子どもの苦しさを深く理解する。
支援のポイント③ 生徒との会話を増やしていくと、生徒の良いところがたくさん見えてくる
生徒との良い関係が生まれやすくなる
発達障害の生徒への対応
ボーダーから発達障害へ
大前提として生徒が暴れたとしても、決して殴らない。
支援のポイント① 高圧的にならずに、徹底的に話を聴く
発達障害の子どもは自分が否定されたと感じた時に弱い。その否定感を取り外すというときに、支援者が自分自身を深く観察していないと「なぜこの子が突然暴れるのか」が見えない。
支援のポイント④ 自分の価値基準に気づき、それを脇に置く
自分の中の価値基準で相手に○や×を付けていると、相手も心を開いてくれない。
発達障害の生徒は、時にいきなり爆発するようにみえる。
しかし、かすかなこちらの感情に反応しているケースがある。
自分の中にある、相手を裁くような分別心に気づき、少なくとも生徒と接する場では、これを脇に置くことが重要。
コミュニケーションのすれ違いから生まれるネガティブな感情が、発達障害を持つ子どもの基本感情になっている場合がある。
支援のポイント⑤ 基本感情となった怒りには遊びという対応を
すれ違う親子のコミュニケーションとその回復
事例から学ぶ
保護者は言葉(バーバル)では「いい大学に行け」と言っていない。しかし子どもはそう言われているとと言い、激しい家庭内暴力をふるう。親と子は、どこがすれ違っているのか。
保護者が自分から気づくのを待つ。
支援のポイント 親子関係が成長が安定した生活の基盤
親子のコミュニケーションのずれを修復するかかわりが大切。
質問 家庭内暴力があり引きこもっている子どもは、話してくれるのでしょうか?
回答 徹底的にその子どもの趣向を学び、共通項を作ります。
引きこもりの子どもを無理矢理出すのではなく、多様なネットワークの中で、本人が選択(自己決定)できるかかわりをする(特に関係づくりの初期段階)。
支援のポイント ポジティブな評価を心がける
自己受容感が上がってくると、ストレス耐性もついてくる
2020年11月8日(於早稲田奉仕園)小沢隆先生「ディヤーナ国際学園と青少年の居場所づくり」②
支援の深まりと子どもの変化
幸福感への問いかけ
確かに発達障害の子どもたちはネガティブな思い出や感情を長く引きずりやすい。しかし、半年から1年経つと変化が見られる。
かかわりが深まり、中期になってくると、苦ではない思い出が出てくるようになる。この変化を見逃さず、親子の対面を考えていく。
ポジティブな感情が生まれてくると、幸福についての問いかけが生まれてくる。
その幸福感とは「今が楽だ」という幸福感ではなく、「どんな幸福感に基づいて生きたら良いか」という青年期の問いかけを含んでいる。これが全体的な成長に繋がっていく。
支援の深まりと姿勢・動作の変化
幼児期と身体文化
かかわりの中期になると、姿勢・動作・しぐさが変化してくる。
幼児期に行儀作法などの形を身につけるのはすごく大切なのではないか。
ディヤーナ国際学園の今後のヴィジョン
複合的なアプローチと連携と
有効とされる食事療法や精神医学の新しいアプローチ、スタッフの育成、運動療法などを組み合わせていきたい。
自然環境の良いところで、最新医療と共に生徒を支えられる場所ができたらと思う。
質疑応答の時間
質問 多機関連携についてどう思われますか?
2020年11月8日(於早稲田奉仕園)小沢隆先生「ディヤーナ国際学園と青少年の居場所づくり」③
質疑応答の風景
内容はダイジェストになります。
- 保護観察官との連携ポイントについての議論
発達障害は非行の背景要因として考慮されるのか? - 緊急状態の受け入れ先をどうするか。多機関連携の難しさについての議論
- 引きこもりの子どもと関係を作るポイントについての議論
- 幼少期の子どもにとって大切なことは何か
- 教育に必要なことについての議論
- 母親の居場所(サードプレイス)についての議論
- 居場所が複数あることのメリットが語られ、行政と組むことの意義についての議論が白熱
- (ZOOMでの参加者)引きこもりの子どもの対応についての質疑応答
ご来場の先生方は以下の通りです。
千里金蘭大学
生活科学部 児童学科
准教授
博士(人間科学)
斎藤 富由起 先生
他、スタッフさん、生徒さん数名
国士舘大学
法学部 准教授
宍倉 悠太 先生
淑徳大学
教育学部 こども教育学科
准教授
守谷 賢二 先生
SKILLSカウンセリングセンター(群馬県伊勢崎市)
代表
飯島博之 先生
一般社団法人国際徳育協会 最高顧問
合同会社武藝団 代表社員
国際武術格闘技連盟 会長
武学士
レノン・リー 先生
認定NPO法人 日本武道総合格闘技連盟 副理事
株式会社ワールドジャパン 代表取締役社長
大畑慶高
優しい雰囲気と厳しさもあわせ持つ、それでいて深く温かい。そんな先生方ですが、とてもとても、難しい問題に切り込んでいらっしゃる先生方だからこそ共感できる苦労や喜びがあるようで、その深みのあるだけ、先生方の表情や雰囲気にもそれが現れていらっしゃるのだと、ひしひしと感じました。
このような素晴らしい交流や講義などが行われ、先生方がお力をあわせられ、さまざまな問題に悩まれる方々へのアプローチが出来ると思うととても楽しみです。
数日後には学生さんたちの講義のご感想を頂きました。
とても真っ直ぐな意見、洞察の深い感想などあり、ご質問もたくさんいただきました。
小沢先生がそちらに回答させて頂く予定ですので、今しばらくお待ちください!
小沢先生によるブロック寸勁割の演武
最後には小沢先生がブロック寸勁割の演武を披露!
武道の達人の技にzoom越しに「おお〜!!」と歓声が上がりました。